半導体製品開発
半導体製品開発は半導体の製造設備・工程がその他の部品と比較して独特な点が多く従って開発も独特な道具・手順にて
発展してきました。その中で設計段階の模擬(シミュレーション)は半導体回路の手直しが多くの時間と費用が懸かるという
側面を少しでも軽減する為半導体設計用に発展してきました。特に純粋な論理回路は自動化が進み現在では
レイアウトも含めて回路の不備はほぼ100%CADにて取り除けるまでとなりました。
一方、アナログを含む回路となりますと更に進展が必要で現状では再試作の日程・費用を組み入れるのが得策と申せます。
すでに50製品以上の開発・量産導入を行いましたがこれはそれだけ長く半導体製品開発には関与したとは申せます。
同時に利用分野が拡大の一途の中で不得意な領域が有り得るという事も推察されて妥当なところです。
2009年に行いました開発の1つで大凡2000アナログ素子と5000ゲートの論理を混在するICが使用していますCADの
限界に接近していました。従って得意な回路はこの程度の規模以内の’アナログとゲートレベルの論理回路’但しウエハーは
近年はMOSが殆んどですがBIPOLAR或いはBICMOSも相当手掛けております。
分野は多岐に渡りますが既に消滅してしまったものも多くあります。然しながら技術背景は有るとは申せます。
手直しを当初より含めるやり方と共に開発の全体を紹介します。参考図 - 開発ステップと分担
目標仕様
対象装置、開発するICの応用回路、IC内システム、製造工場・技術、製造コスト、主要特性等を吟味して採算性、実現性を確認します。
IC化の前にシステムの確認が成されていて全体の装置にてICの役割が適切である事が大切です。これはボード設計の場合に起きる手直し
と比較してICの変更・修正にはその確認も困難な場合もえてしてありますと同時に時間と費用が多大に必要な場合が多いからです。
回路設計
回路の確認はICの場合模擬的に行います(シミュレーション)。あくまでも模擬ですので特にアナログ回路を含む場合
実際とは異なる事もあります。この点経験則が生きる事も多々あります。回路が終了しますとマスクの為のレイアウトを行います。
レイアウトは大方はボードのパターン設計同様ですがレーヤーが多い事と規則が比較にならない程多い事が異なります。
線幅・スペース等のルール・チェック(DRC)に加えてレイアウトと回路間の確認(LVS)もソフトウエアーにて行います。
LVSによる確認は単に一致を見るのみでパターンの良し悪しは、回路以上に経験則が生きる部分です。
この様な不確実性からの負担を少しでも軽減しようとしますのが多目的試作ウエハー(MPW)の活用です。
単一な製品の試作では多種類のダイを搭載したり、或いは複数の異なった製品試作品を搭載します。急がば回れ式ですが、
シミュレーションでは無く実シリコンにての確認ですので信頼できますと同時に費用の削減にも結局は繋がると言ったところです。
回路設計の最終段階ではお客様にも参加をいただき共同してシミュレーションを行う場合も考えられます。参考図 - CAD
試作
試作の主な工程は: マスク製作 - ウエハー試作 - 組立 です。
現在多くの工場は量産ラインをそのまま試作に使用しますので日程も含めて期待の通りに進展いたします。
組立の終了した試作品は、前もって特段な手配を取らない限り未検査品にて出荷されます。
審査
試作品が目標仕様を充足をするかどうかが主要な点ですが、試作品単体のみならず応用回路にての審査も重要です。
量産日程が目前となる開発ではなるべく早期に量産性の確認が希望されます。
量産性の要は信頼性と製造性(歩留)ですが後者は設計した回路に依存する場合が多く、従ってこの段階にて
サンプル数は少なくてもSPCを採取します。更にESD・ラッチアップ等の比較的設計に依存する信頼性項目もチェックが望ましいです。
これらの為には自動化した実験室審査セットアップが不可欠です。参考図 - 自動検査セットアップ
アナログ回路を含む場合の独特な点で特性の「センター合わせ」という処理があります。場合によってはセンターをずらした
試作品を作りどれかを選ぶというやり方もあります。必要な時、回路・レイアウトの修正を行いマスクを製作し再試作・審査を繰り返します。
通常多くの点は最初の審査にて確認していますので不具合の修正或いは機能変更・修正が伴わない限り再現性の良い過程となります。
量産準備
試作品の完成で一旦終了という場合もありますが通常は量産を日程に乗せます。主な作業は:
● 量産マスクの製作 (試作品に使用したマスクを量産に転用する場合必要ありません)
● 量産試験のセットアップ (プローブ・特性試験の細目 ー 回路図、項目リストと上下限値)
● 信頼性試験の実施・審査 (回路図、試験項目とその内容、試験フロー)
● 量産フロー策定
● 量産試験ロットの実施・審査(セットアップした量産フローと同一な工程にてロットを流します)
工場と設計が協力して行う工程です。時には量産性が100%希望でなくても見切り発車する場合も有りますが量産にて発覚する不具合は
重大な結果となる場合を孕んでいますので慎重・正確にデータを検定し必要と思ったら可能な手立を準備するのも大切です。
多くの製品で以上の全作業を設計として行いましたが、年数は少ないですが工場側となりこれらの工程及び量産も担当いたしました。
以上の作業の全部或いは部分でも相談頂けると思います。御連絡をお待ちしています。